2025/03/12

2023年4月30日(日) 光明池駅周辺の帰化植物観察会の記録

  泉北高速鉄道光明池駅から住宅地を抜けて城山公園まで、帰化植物(外来植物)を中心とした観察会を実施しました。長年帰化植物の研究、観察を続けてこられた中山圭子さんに案内をお願いしました。さっそく駅前広場の花壇を覗いていくと、コメツブツメクサ、コバンソウ、ヒメコバンソウ、ナガバギシギシ、メリケントキンソウ、オッタチカタバミ、カラクサナズナなどが次々あらわれて、一ヵ所でなかなか動けません。歩きながらもイヌコハコベ、キヌイトツメクサ、シロイヌナズナ、ナギナタガヤ、アオカモジグサ、キキョウソウ、ブタナ、セイタカハハコグサ等を見ていきます。ある花壇ではウラジロチチコグサ、ウスベニチチコグサ、キヌゲチチコグサ、チチコグサモドキを見比べて観察できました。駅前を少し離れると、シロバナマンテマ、ニガナ、ヌカススキがそれぞれ群落を作って見ごたえがあります。また斜面いっぱいにコゴメバオトギリがしげり、その下の溝にはハナヤエムグラがピンクの小花を華やかに咲かせていました。甲斐田川に沿って少し歩き、スイカズラ、スイバ、オニウシノケグサ、ナガハグサ、そして他ではなかなか見かけないカキネガラシをしっかり観察。道路沿いではネビキミヤコグサ、ユウゲショウが広がっています。団地の中を通り抜けて城山公園へ向かう途中では、フラサバソウ、ハナヌカススキ、カモガヤ、ヒナギキョウ、ツタバウンランなどが見られました。栽培品が逸出したと思われるシダの仲間のマツバランもまだ残っていました。城山公園はコジイやアラカシやコナラなどかつての泉北丘陵の植生が残っているようで、カンサイタンポポ、カニツリグサ、ヘビイチゴ、オヘビイチゴ、キランソウ、ヤブタビラコ、ジシバリなどがありました。午後はヤワゲフウロ、アイセイタカハハコグサ、コウゾリナ、コモチマンネングサ、オオニワゼキショウなどを見ながら鴨谷池の横を通って駅へ。鴨谷池は木々が水際まで茂り落ち着いた雰囲気の池です。再び甲斐田川に出て、最近増えているシラホシムグラとヤエムグラの違いを観察しました。川の中にはオランダガラシ(クレソン)が、また住民の方が草木を植えておられる中、ヒルザキツキミソウやメキシコマンネングサなどが負けずに茂っていました。出発時雨が心配されましたが、途中少しぱらついただけで無事に終了できました。 ご案内いただきました中山様、ありがとうございました。

◎ 当日配布された、下見時に見られた植物リストをこちらに載せています。

◎ 当日観察したシラホシムグラの記事をこちら(外部の記事)に載せています。



第46回会員発表会

 令和5年1月21日(土)に 堺市立南図書館集会室で実施されました。

発表者及び演題

・出原茂樹「犬鳴山渓谷観察会の報告」

・酒井和子「堺・鉢ヶ峯 里山で見られる帰化種―2022」

・今井修二「大雪山系で見た植物」

 < 休 憩 >

・芦田喜治「コケ2022,みたこと・したこと」

・左木山祝一「秋田駒ヶ岳で見た植物」


2022年11月6日(日) 犬鳴山渓谷 植物観察会の記録

9時50分に犬鳴山バス停で木村副会長の挨拶の後、出原さんから今日の観察会のコースと見どころについて話をしていただきました。出原先生の話の中で、今回はエノキとコバノチョウセンエノキの観察、ナキリスゲとオオナキリスゲの比較、いくつかのハギ(特にキハギ)の観察などをポイントとしました。

犬鳴山バス停を出発し森の中に入っていくと、まずキハギの観察でした。キハギの葉先は尖り、全体が平面的に並んでいるようでした。杉や雑木の林では薄暗くヒメコウゾなどのいろいろな木々やササクサやチヂミザサなどの下草、シダ類などが繁っていました。さらに進んでいくと、オオナキリスゲを見つけることができました。ナキリスゲのすべての小穂は、上に雄花がつき下に雌花がつくが、オオナキリスゲの頂小穂には雌花がなく雄小穂のみとなる特徴で見分けることができました。そのあとすぐにコバノチョウセンエノキを見つけることができました。その後もエノキとコバノチョセンエノキを見ましたが、葉の形では見分けのつきにくいものもありました。

途中、藪の中に入って観察しました。そこでキジョラン、イワタバコを観察しました。キジョランはアサギマダラの餌となることを聞き、つるになって高木のてっぺんまで伸びていく様子を見ることができました。午後には道すがらアサギマダラの優雅に飛ぶ様子を見ることができました。

藪を出て坂を上っていくと、タイミンタチバナの木がありました。この木は黒潮に乗ってくるとのこと、このあたりから南、西に多くあるそうです。再び藪に入り、レモンの香りがするレモンエゴマや硬いとげのような葉をもったカヤを地面の近くで見つけるなどしました。山道に戻り少し進んだところで、鮮やかな瑠璃色の実をつけたルリミノキを観察し皆がカメラを向けていました。

七宝瀧寺では6日に火渡りの行事が行われていたため、行事の妨げにならないよう端の方でカギカズラの観察をしました。葉の付け根に1個,2個と繰り返し鉤が付き、その鉤を大木の枝に引っ掛けながら、大木の頂上まで登ってくのです。植物の戦略に恐れ入ります。昼食をとった駐車場で大きく育ったカギカズラを見つけ、その先に実がついているのを見つけました。

昼食後は車道を上り、階段を少し下ったところでフユザンショウ、カワミドリを見ました。再び車道に戻り、今度は下りながらバス停へ戻っていきました。その途中ギンリョウソウモドキを見ることができました。アキノギンリョウソウとも言いギンリョウソウよりも遅い時期に出てきます。ギンリョウソウの花は下を向いたままで成熟し、ギンリョウソウモドキの花は下から上へ向きを変えて成熟します。最後にキチジョウソウの群落を観察し、蕾や花や実を見ることができました。

帰りは予定を変えて早く下山したこと、早いバスの時間を調べずにいたことなど、帰りについて参加者の皆さんにご迷惑をおかけしました。この場をお借りし、お詫びいたします。

好天に恵まれたことと、出原先生がとても詳しく調査され、資料を準備してくださったことで様々な植物を十分に観察することができました。


下は、会員のブログから、当日観察した植物に関する情報です。(植物名をクリックしてください。)

 カギカズラ カワミドリ フユザンショウ 

2022年10月16日 「堺自然ふれあいの森」観察会の記録

晴天に恵まれ少し暑いほどの中、予定を変えてまず山側の里道から歩き始めました。この公園のシンボルでもあるシリブカガシや、ヤマモモ、カスミザクラの大木の間に、実をつけたウメモドキ、ナツハゼ、ネズミモチ、またイソノキの幼木、タカノツメ、カクレミノ等を観察していきます。水がしみ出した斜面にコモウセンゴケ、シダ植物のミズスギが見られました。尾根道に上がり、見晴らし広場では淡い藤色のコウヤボウキが花盛り。ゴンズイ、ガンピ、ナナミノキ、ヤブムラサキ、ネズミサシ、カクミノスノキ、ヒサカキ、クロバイ等の樹木を見たのち第二豊田川添いの道に下りると、こちらはヨシノアザミが一面に花をつけていました。タチカモメヅルの愉快な形の実や、ノダケの紫色の複散形花序が目を引きます。これらは草刈の時申し入れをして残してもらったとのことでした。奥まったところにあるウラゲウコギを観察し、ヤノネグサ、アキノウナギツカミ、アカネ等を見ていくと、美しい青緑色の実(虫こぶ)をたくさんつけてさながらクリスマスツリーのような、低木にからんだノブドウに出会いました。さらに奥に進むと、数年前の台風で大きな木が倒れてできたギャップに多くの草本やシダ植物が出現したという場所がありました。花後のオオヒキヨモギが数本あり、今度は花の咲いた時に来たいと思いました。川の中にはツルヨシ、ミゾソバ、出口に近づくあたりではアメリカセンダングサ、オオイヌタデ、ジュズダマ、オオブタクサ等が見られました。午後は職員の方に普段入れないスゲ沼を案内していただき、里山の湿地風景を再生するご苦労をうかがいました。ニホンアカガエル、シュレーゲルアオガエルが生息しているそうですが、ウシガエルやアメリカザリガニを根絶することが難しいそうです。稲刈りが終わった田でキカシグサ等を観察し、カヤネズミの巣の痕跡やススキの根元のナンバンギセルを見て終了しました。

下見の時からご協力いただいた熊谷様、当日お話を伺った酒井様、ありがとうございました。

(なお、当日お配りした下見の時の資料のうち、「ノブキ」は間違いでしたので削除して下さい。酒井様、ご指摘いただきましてありがとうございました。)

参加者18名

(藤村記)


下見(2022.9.25.実施)で確認した植物のリスト → 表示


下は、会員のブログから、当日観察した植物に関する情報です。

★ キカシグサ

刈り取られた田でかわいい花を咲かせる水田雑草です。気候の関係だと思いますが、今年は花がほとんど終わっていて、残っていた花も枯れる寸前の花でしたので、以前同じ場所で同時期に撮影した写真を紹介しておきます → こちら

★ ホソバイヌワラビ

観察会で無性芽を見ました。こちらに載せています。



 

2022年9月4日 金剛山久留野峠方面の観察会の記録

 

集合 午前10時15分に南海バス 金剛山ロープウエイ前バス停

 台風11号と停滞前線の影響で不安定な天気が続く中、この日は天気に恵まれた。金剛山ロープウエイ前バス停に集合、木村副会長のあいさつ、担当者からのコースの説明のあと、10時15分出発。集合場所のトイレの周辺では、オニドコロの花と実、季節外れのヤマブキの花、ボタンヅルの花、ヌルデの実、ノブドウの虫こぶと虫の入っていない実の違いなどを観察し、ようやく歩き始めた。

 歩道脇に生えたフサザクラの新しい赤い葉と大きな木にぶら下がっている実、マタタビの黄色く熟した実と虫の入った実、ヤブムラサキ、ムラサキシキブの葉、植えられたヒマラヤスギなどをみて東屋の横を通過。数個の実をつけたヒメヤシャブシ、赤い実と来年の小さな花芽をつけたカナクギノキ、ツルニンジンのつぼみと実(後で下を向いて咲く花も見られた)、オオバアサガラの実生の大きな葉。アブラチャンの大きな丸い緑色の実などを観察しながらゆっくりと進む。

 撤去されることが決まったロープウエイへの登り口を右に見て、まっすぐに進み久留野林道の入り口に到着。林道に入ると、谷道で両側が植林で、暗いところと、開けた明るいところがあり、暗いところには、小さな白い花をつけたハナタデやウワバミソウが地面を覆うように生えている。明るいところには、小さな穂をつけたミカエリソウ、花が咲き始めたアキチョウジ、実をつけたフタリシズカ、ユキザサなどがみられた。

 久留野峠への最後の急な登りになる前の開けた所で、舗装された道に荷物を広げて昼食をとり、もと来た道を戻った。雨の後で、濡れた滑りやすい道を注意深く下って帰った。登りに見逃した種類や、気が付いていなかった点を見ながら下った。

 道を覆うようにツルになって伸びている葉が話題になっていたが、シソ科のオウギカズラで、春の花のあとに地をはう枝が伸びるそうである。ヤハズアジサイについて、両側の斜面の植林下に、先が切れ込んだ大きな葉をつけて一面を覆うように生えており、木村副会長の説明では、この種は、そはやき要素(襲速紀、九州中南部の「熊襲」・四国の「速吸瀬戸」・紀伊半島・東海地方の中央構造線に沿って分布の中心がある植物)と言われており、帰ってWikipediaで調べたところ、なじみのあるところでは、ユキワリイチゲ・チャルメルソウ・ギンバイソウ・モチツツジ・テイショウソウ・シライトソウなどが該当するそうである。

 午後2時解散。解散のあと、バス停の歩道の溝に、アカバナの花が咲いているのを見てバスに向かった。歩く距離は短く、ゆっくり観察できたかと思う。

(その他、見られた植物)
アマチャヅル、イヌガラシ、イヌショウマ、イヌトウバナ、ウシタキソウ、ウバユリ、オトコエシ、カラスウリ、カラムシ、ガンクビソウ、キツリフネ、キンミズヒキ、ギンレイカ、クサアジサイ、クマシデ、ゲンノショウコ、コメナモミ、サジガンクビソウ、シュウブンソウ、シラネセンキュウ、ツリフネソウ、ノブキ、ハダカホウズキ、ヒメコウゾ、フタバアオイ、ミズタマソウ、モミジガサ、ヤブマオ、ヨシノアザミ




「庭代公園のアマナ」ミニ観察会(案内文)

 

2025年3月観察会の案内文です。


 庭代公園のアマナが開花する時期に、栂美木多駅から緑道を約1.5km歩いて、早春の緑道沿いの植物観察を行います。今回は午前中のみのミニ観察会です。目的地の庭代公園からはバスで駅まで戻ることができます。希望者は栂美木多駅まで別のルートで植物観察をして駅に戻ることも可能です。

1.日時:2025年3月9日(日) 午前9時30分(雨天中止)

※当日朝7時頃のNHK気象情報で、大阪府午前の降水確率が60%以上の時は中止。

2.集合場所: 泉北高速鉄道「栂美木多駅」改札口

  ※交通(例): 難波(準急)8:54→堺東9:07→中百舌鳥9:13→栂美木多9:23

3.解散: 午前11時30分現地解散
 (庭代台センター11:40発、南海バスで、栂美木多駅11:51着)
 ※栂美木多駅まで徒歩で約20分。

4.当日会費: 300円

5.持ち物: 飲み物・図鑑・ルーペ・カメラ等

6.担当:  木村・今井