2025/09/11

西原公園でハナガガシを発見

  今年8月に本会役員の今井周治さんが、西原公園(南区・栂美木多駅下車)で多数のハナガガシが生育しているのを発見され、連絡をいただいて私も確認に行った。場所は公園奥の西松尾池の東側で、比較的大きな木以外に若木も多数生育しており、繁殖をしているものと思われる。ハナガガシは堺市では最初に平野先生が荒山公園で見つけられ、今井さんによると2002年2月9日の堺自然観察会(ユックルック)の観察会の資料に掲載されている。梅林の駐車場の近くで、多治速比売神社へ上る階段下の鳥居のすぐ左側に、樹高が20mに達する大木が1本だけあり、名札もついている。昨年秋に見たところ、どんぐりも稔っていないようである。それに対して西原公園では多数の若木もあり、関西では非常に貴重な生育地であると思われる。関西地方では荒山公園以外に、京都府立植物園と和歌山県植物公園緑花センターで植栽されているという記録しか見つからなかった。

ハナガガシの樹冠 (荒山公園)

ハナガガシの葉(西原公園)

 ハナガガシの名は他のカシ類に比べ、上の写真のように、葉が細長いことからつけられたものである。四国南部と九州南部にのみ分布し、愛媛、高知、長崎、熊本及び宮崎の一部地域でのみ自生が確認されている植物。各県のレッドリスト掲載種で、環境省のⅡ類、愛媛・高知県ではⅠA類、大分県ではⅠB類、熊本・鹿児島ではⅡ類、宮崎県では準絶滅危惧種に指定されている。これらの分布地はシロバナタンポポの主要な分布域とほぼ重なっている点が興味深い。関西地方は本来の分布地ではないので、公園造成時に意図的に植栽されたか、他の植栽木とともに運ばれて生育していると考えられる。葉の先端はとがり、アラカシのように上半分にまばらに鋸歯がある。葉の中央を走る太い葉脈(中肋)は隆起しないのが特徴で、ツクバネガシのように葉は枝先に集まって着く。冬芽が他のカシ類と比べても非常に細長いという特徴があるとのことで、確かめてみたい。今秋に調査をして結果を会誌に報告する予定。(木村 進記)

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