当日は、お天気に恵まれ、暑くもなく、寒くもなく、植物観察には、とても良い天候であった。近鉄西信貴ケーブルで高安山駅まで上った。上って行く途中では、眼下に大阪平野が一望でき、すばらしい眺めが楽しめた。高安山駅前に9:40に集合して、挨拶をして、資料を配布した。今回の主な目的は、アオモジとシマカンギクとの出会いであった。10時に出発して、観察会を始めた。
歩き始めてすぐには、クマノミズキ、ヤマコウバシ、クヌギ、コナラ、ニワトコ、シロダモ、ソヨゴ、ウラジロノキ、コバノガマズミなどが観察された。キク科のコウヤボウキは、ちらほらと花が残っていた。しばらく歩き続けると、目的のアオモジに出会った。この時期のアオモジを見るのは初めてであったが、たくさんの花芽がびっしりと付いていて、びっくりした。「年末~2月には、アオモジが花屋で咲き誇っている」という話に納得がいった。もう準備が始まっていたのだ。
高安山レーダー付近では、花の咲いているテイショウソウが観察された。テイショウソウの花は、コウヤボウキの花と似ている。私の経験では、テイショウソウは、和泉山脈と生駒山地では見受けられるが、北摂の山々では生育していないように思われる。テイショウソウ以外には、ミツバ、ノササゲ、アオミズ、ヤブマオ、ヤブマメ、ボタンヅル、ヤブタバコなどが観察された。シソ科の小さな花が見受けられたので、近寄って見ると、ナギナタコウジュであった。片側に花を並べている花序のようすは、薙刀を想像させる。匂いを嗅いでみると、あの独特の香りがした。
大阪府と奈良県の境の尾根道を歩いていると、ヤクシソウの花が盛況に咲いていた。ヤクシソウの名の由来は、茎を抱く倒卵形の葉の形が、薬師如来の光背に似ているからと言う説があるが、その変わった形の葉に黄色の花がたくさん咲いている様子は、風情のあるものであった。
立石越で急カーブをして、奈良県へと足を運んだ。ここから龍田川駅までは、下り一辺倒である。しばらく歩いた後、12時が近づいてきたので、菊畑の横の道端で、昼食を取った。日向で昼食を取るには暑く、日陰で昼食を取るには寒い、と言う複雑な陽気であった。私は、その境目で昼食を取ることにした。近くの藪には、赤いカラスウリの実が、いくつかぶら下がっていた。
しばらく歩くと、久安寺の集落に到着した。ここでも、集落周辺でアオモジが植栽されていて、花芽をたくさん付けていた。久安寺集落~信貴畑集落では、ツクバネガシ、テイカカズラ、アキノキリンソウ、ボントクタデ、ミゾソバ、テイショウソウ、カゴノキ、マルバアオダモ、アカガシなどが観察された。垂直分布に関して、アカガシは照葉樹林帯の最高部に生育する。この地域は内陸部であり、冬の寒さがかなり厳しいのであろう。
信貴畑集落を集発して、椹原(ふしはら)の集落に向かった。途中には、ナツフジ、ミヤマガマズミ、コバノガマズミ、スダジイ、ネズミモチの他、待望のシマカンギクが観察された。シマカンギクの鮮やかな黄色の花が、日当たりの良い斜面に、あちらこちらと咲いていた。長尾さんが、スマホを使って、インターネット検索すると、「シマカンギク」と検索された。今風に言うと、シマカンギクは、私の「推しの花」で、眺めていると心が華やぎました。ミヤマガマズミとコバノガマズミがいっしょに観察されたので、葉の手触りを試してみました。ミヤマガマズミがツルツルとした手触りに対して、コバノカマズミは毛ば立つような手触りがした。
椹原集落にある正光寺でトイレをお借りして休憩した。椹原集落を出発して、竜田川駅に3時過ぎに到着し、観察会終了の挨拶をして、解散した。
0 件のコメント:
コメントを投稿