令和4年5月8日(日) 南河内(千早口方面)観察会
当日観察した蘚苔類リスト → 【こちら】
晴天に恵まれ、比較的涼しい絶好の観察会日和。集合場所の「千早口駅」には次々と参加者が集まり、総勢22名となった。10時に大場会長のあいさつの後、担当の木村から地図と植物リストを配布し、コースの概略を説明した。何回か観察会を実施したコースだが、美加の台の造成が始まって、この地域の環境は大きく変貌した。でも、明るい農地や住宅地と暗い山道が交互にあり、多くの植物を見ることができた。
駅近くには農地が多く、コオニタビラコ(春の七草のホトケノザ)やウマノアシガタ・キツネノボタンなど、黄色い花が目立つ。外来種でやっかいなハタケニラは、秋に咲くニラとは異なりニラ臭はない。竹林でソクズを見る。スイカズラ科からレンプクソウ科に移され葉はニワトコに似る。夏に白い花が咲き秋の赤い実は食用にもなる。帰路の川沿いに見られた。高架道路近くで3mにも達するトウコマツナギを見る。
このあたりから、古くから残る山道に入る。ツルカノコソウ・ツボスミレ・シャガも白い花盛り。1週間前の下見では咲いてなかったシライトソウも20~30株は開花。チャルメラの形の実を多数つけたチャルメルソウやサンショウソウも多い。クジャクシダ・リョウメンシダ・ジュウモンジシダなど湿った場所を好む特徴的なシダが見られ、ゼンマイ・シシガシラ・イノデ・ヤブソテツなどが続く。マルバウツギやハナイカダ・コバノガマズミやムラサキケマン・ムロウテンナンショウも咲いている。
その後、美加の台の住宅地を横切り、「延命寺口」のバス停付近から再び山道に入る。住宅地ではコウゾリナ・ノアザミの他、ブタナ・キキョウソウ・コバンソウなどの外来種が多いが、山道に入るとチャルメルソウやヤマネコノメソウ・ハシカグサや前述のシダ植物が多くなる。また、船のような形の実を多数つけた草が密生している。下見の時には白い花が残っている株もあってすぐに分かったのだが、実だけではなかなか難しい。皆さんに何かと尋ねたところ、数人の方はご存じで前回の槇尾山の観察会でもたくさん見られたサツマイナモリである。その後、明るい畑を経て延命寺へ12時半に到着し、昼食をとった。延命寺周辺には以前からササユリが多く見られたが、減ってはいるが開花可能な株もかなり見かける。フタリシズカも開花していた。植栽されたヤマユリもよく育っていた。
午後1時半頃に延命寺を出て、三日市町駅へ向かう。途中、クサノオウ・ツルニチニチソウ・ヤブヘビイチゴ・カテンソウなどを観察し、昔は水車があって薬草を加工していた大同薬品近くで、キハダの樹皮の苦さを体験した。近くに見かけないフウロソウがあった。調べるとヒメフウロであった。貴重な在来種だが近年は園芸用でも販売され、それらが逸出して広がっているそうだ。小さなつぼみができ始めたマタタビの葉の先がわずかに白くなっていた。川沿いでオニグルミ(下垂する雄花序と上向きの雌花)を観察して、15時半頃に駅に着いた。晴天の下、様々な環境に生える植物を観察することができ、満足していただけたと思う。