2025/10/06

泉佐野丘陵緑地観察会(案内文)

 2025年10月の観察会の案内文です

1.日時:2025年10月5日(日) 午前9時(雨天中止:下記の9.天候)

2.集合場所:JR阪和線日根野駅改札口

3.交 通(例):天王寺(快速)8:15→三国ヶ丘8:25→鳳8:31→日根野8:48

4.現地までの行き方:いずみさの観光周遊バス(コミュニティバス)に乗車

 日根野駅前9時16分発乗車→泉佐野丘陵緑地パークセンター9時25分着(無料)

 ※このバスは南海本線泉佐野駅前9:00発で、その後JR日根野駅を経由します。

  泉佐野駅から乗車いただいてもけっこうです。

 ※直接車で行かれる方は、現地パークセンター前に9時30分ごろお集まりください。

5.解散:午後2時頃 (14時01分発のバスに乗車)

6.当日会費:300円

7.持ち物:弁当・飲み物・図鑑・ルーペ・カメラ等 

8.天候:

 当日朝6時前後のNHK気象情報で、大阪府午前の降水確率が60%以上の時は中止

9.担当:藤村・木村

 大阪府泉佐野丘陵緑地は総面積74.5haあり、そのうちの約20haが2014年に第19番目の府営公園として開設されました。環境に配慮した自然の植生が見られる公園です。
 ミミズバイ、ミソナオシ、コウヤボウキ他、観察します。山道を歩きますので、ストックがあれば安心です。
 昨年9月の予定でしたが雨で中止したため、再度計画しました。9月はまだ残暑が厳しそうですので、10月にしています。ふるってご参加ください。



2025/09/11

2025年9月11日まで堺植物同好会HPの TOP ENTRY を飾った写真

ハマボッス Lysimachia mauritiana

 

西原公園でハナガガシを発見

  今年8月に本会役員の今井周治さんが、西原公園(南区・栂美木多駅下車)で多数のハナガガシが生育しているのを発見され、連絡をいただいて私も確認に行った。場所は公園奥の西松尾池の東側で、比較的大きな木以外に若木も多数生育しており、繁殖をしているものと思われる。ハナガガシは堺市では最初に平野先生が荒山公園で見つけられ、今井さんによると2002年2月9日の堺自然観察会(ユックルック)の観察会の資料に掲載されている。梅林の駐車場の近くで、多治速比売神社へ上る階段下の鳥居のすぐ左側に、樹高が20mに達する大木が1本だけあり、名札もついている。昨年秋に見たところ、どんぐりも稔っていないようである。それに対して西原公園では多数の若木もあり、関西では非常に貴重な生育地であると思われる。関西地方では荒山公園以外に、京都府立植物園と和歌山県植物公園緑花センターで植栽されているという記録しか見つからなかった。

ハナガガシの樹冠 (荒山公園)

ハナガガシの葉(西原公園)

 ハナガガシの名は他のカシ類に比べ、上の写真のように、葉が細長いことからつけられたものである。四国南部と九州南部にのみ分布し、愛媛、高知、長崎、熊本及び宮崎の一部地域でのみ自生が確認されている植物。各県のレッドリスト掲載種で、環境省のⅡ類、愛媛・高知県ではⅠA類、大分県ではⅠB類、熊本・鹿児島ではⅡ類、宮崎県では準絶滅危惧種に指定されている。これらの分布地はシロバナタンポポの主要な分布域とほぼ重なっている点が興味深い。関西地方は本来の分布地ではないので、公園造成時に意図的に植栽されたか、他の植栽木とともに運ばれて生育していると考えられる。葉の先端はとがり、アラカシのように上半分にまばらに鋸歯がある。葉の中央を走る太い葉脈(中肋)は隆起しないのが特徴で、ツクバネガシのように葉は枝先に集まって着く。冬芽が他のカシ類と比べても非常に細長いという特徴があるとのことで、確かめてみたい。今秋に調査をして結果を会誌に報告する予定。(木村 進記)

2025/06/07

2024年11月10日(日) 高安山~竜田川方面植物観察会の記録

 当日は、お天気に恵まれ、暑くもなく、寒くもなく、植物観察には、とても良い天候であった。近鉄西信貴ケーブルで高安山駅まで上った。上って行く途中では、眼下に大阪平野が一望でき、すばらしい眺めが楽しめた。高安山駅前に9:40に集合して、挨拶をして、資料を配布した。今回の主な目的は、アオモジとシマカンギクとの出会いであった。10時に出発して、観察会を始めた。

 歩き始めてすぐには、クマノミズキ、ヤマコウバシ、クヌギ、コナラ、ニワトコ、シロダモ、ソヨゴ、ウラジロノキ、コバノガマズミなどが観察された。キク科のコウヤボウキは、ちらほらと花が残っていた。しばらく歩き続けると、目的のアオモジに出会った。この時期のアオモジを見るのは初めてであったが、たくさんの花芽がびっしりと付いていて、びっくりした。「年末~2月には、アオモジが花屋で咲き誇っている」という話に納得がいった。もう準備が始まっていたのだ。

高安山レーダー付近では、花の咲いているテイショウソウが観察された。テイショウソウの花は、コウヤボウキの花と似ている。私の経験では、テイショウソウは、和泉山脈と生駒山地では見受けられるが、北摂の山々では生育していないように思われる。テイショウソウ以外には、ミツバ、ノササゲ、アオミズ、ヤブマオ、ヤブマメ、ボタンヅル、ヤブタバコなどが観察された。シソ科の小さな花が見受けられたので、近寄って見ると、ナギナタコウジュであった。片側に花を並べている花序のようすは、薙刀を想像させる。匂いを嗅いでみると、あの独特の香りがした。

 大阪府と奈良県の境の尾根道を歩いていると、ヤクシソウの花が盛況に咲いていた。ヤクシソウの名の由来は、茎を抱く倒卵形の葉の形が、薬師如来の光背に似ているからと言う説があるが、その変わった形の葉に黄色の花がたくさん咲いている様子は、風情のあるものであった。

 立石越で急カーブをして、奈良県へと足を運んだ。ここから龍田川駅までは、下り一辺倒である。しばらく歩いた後、12時が近づいてきたので、菊畑の横の道端で、昼食を取った。日向で昼食を取るには暑く、日陰で昼食を取るには寒い、と言う複雑な陽気であった。私は、その境目で昼食を取ることにした。近くの藪には、赤いカラスウリの実が、いくつかぶら下がっていた。

 しばらく歩くと、久安寺の集落に到着した。ここでも、集落周辺でアオモジが植栽されていて、花芽をたくさん付けていた。久安寺集落~信貴畑集落では、ツクバネガシ、テイカカズラ、アキノキリンソウ、ボントクタデ、ミゾソバ、テイショウソウ、カゴノキ、マルバアオダモ、アカガシなどが観察された。垂直分布に関して、アカガシは照葉樹林帯の最高部に生育する。この地域は内陸部であり、冬の寒さがかなり厳しいのであろう。

 信貴畑集落を集発して、椹原(ふしはら)の集落に向かった。途中には、ナツフジ、ミヤマガマズミ、コバノガマズミ、スダジイ、ネズミモチの他、待望のシマカンギクが観察された。シマカンギクの鮮やかな黄色の花が、日当たりの良い斜面に、あちらこちらと咲いていた。長尾さんが、スマホを使って、インターネット検索すると、「シマカンギク」と検索された。今風に言うと、シマカンギクは、私の「推しの花」で、眺めていると心が華やぎました。ミヤマガマズミとコバノガマズミがいっしょに観察されたので、葉の手触りを試してみました。ミヤマガマズミがツルツルとした手触りに対して、コバノカマズミは毛ば立つような手触りがした。

 椹原集落にある正光寺でトイレをお借りして休憩した。椹原集落を出発して、竜田川駅に3時過ぎに到着し、観察会終了の挨拶をして、解散した。



2024年10月20日 鶴見緑地公園観察会の記録

 このところ雨で中止となる観察会が多かったが、この日は晴天に恵まれ、爽やかな風の中、気持ちのいい観察会となった。 大阪メトロ鶴見緑地駅に午前10時に集合し、木村副会長の挨拶の後、観察を開始する。

 まず、中央大通にあるメタセコイアとラクウショウで両者を比較する。樹形を比較した後、どれが1枚の葉か、その根拠は、などのクイズで長枝と短枝を理解し、葉が対生のメタセコイアは球果の鱗片も対生、葉が互生のラクウショウは球果の鱗片も互生であることを確認した。

 「自然体験観察園」に入ってすぐの所にヤブガラシがあったので、このツルは茎が変化したものか、葉が変化したものかを、葉が互生か対生かに注目して考えた。

 さまざまな植物を観察しながら進む。ここで育っている木には、植栽されたものと、鳥が運んできた種子に由来するものとが混じっているようだ。ジュズダマ、カラムシ、ミゾソバなどを観察しながら進む。コウホネが咲いていた。田にはデンジソウが見られた。よく育ったマコモがあった。この芽が黒穂菌に感染して大きくなったものはマコモダケの名で店先にも並ぶようになってきている。外来植物のマルバツユクサも見られた。

 古代米が育てられていた。見るとふつうのイネには無いノギが発達していた。多くのイネ科に見られるノギは、食害から種子を保護し、種子散布にも役立つと考えられているが、イネでは収穫時の妨げになるとして、栽培化の過程で選抜、除去されている。

 「風車の丘」ではコキア(ホウキギ)やミューレンベルギアが美しかった。ギンドロ(ウラジロハコヤナギ)が地下茎で増えていた。風車をバックに記念写真を撮った。

 ホシアサガオとマメアサガオの比較などを行いながら、「日本庭園」へ。背後に作られた流水中にはアメリカオオアカウキクサと思われるシダ植物があった。

 ここから少し北に進んだ「西アジアレストハウス」近くの休憩所で昼食を取った。昼食中、ハシブトガラスが早く出ていけ!とばかりに鳴き続けていた。

 昼食後、ナギやナンジャモンジャノキなどを観察しながら山のエリアを下る。途中、イヌビワがあったので、この雌株・雄株とイヌビワコバチとの関係を説明した。また、アメリカデイゴが咲いていたので、花の色、ガクの丈夫さ、密の多さなどから鳥媒花と考えられることを説明した。

 山のエリアの「西ゲート」から「せせらぎの滝」へ。ここではカツラの短枝と長枝について説明した。「緑のせせらぎ」に沿ってアベマキ、ハンゲショウなどを観察しながら歩く。コケ植物では、ヒナノハイゴケ、サヤゴケ、ヒロハツヤゴケ、ケカガミゴケ、フルノコゴケなどを観察した。

 「けやき通」を通り、「咲くやこの花館」前へ。当初は全員で入館の予定であったが、温室の工事中であることや通路が狭く全員集まっての植物観察が困難であることなどから、いったんここで解散し、希望者のみで入館することにした。

 「咲くやこの花館」では、石垣島や沖縄などで見られるサガリバナやマングローブで見られるオヒルギ、アリと共生する植物、トックリキワタの花と実、多くの高山植物などを楽しんだ。咲くやこの花館は広いバックヤードで開花調節し、頻繁に植物を入れ替えているので、高山植物なども季節に関係なく楽しめる。         (左木山 記)

【その他の観察した植物】
アキニレ、ユズリハ、ヒメコウゾ、センダン、コナギ、ナツメ、エノキ、ケヤキ、コブシ、アメリカフウ、イロハモミジ、アメリカノウゼンカズラ、オオオナモミ、アカギ、スイフヨウ、ヒトツバタゴ、トウネズミモチ、クヌギ、クマシデ、アカシデ、ニシキギ など

 


2024年5月12日 甘樫丘(国営飛鳥歴史公園)観察会 の記録

甘樫丘には「万葉の植物園路」と名付けられた散歩観察コースがあります。万葉の木々が40種選ばれ、①~㊵と順に番号が振られ、和歌を紹介してあります。植物同好会の私たちとしては和歌のヒントなしで同定していきたいところです。和歌の文字もいわゆる万葉仮名で、イチイガシ(伊知比)、ヤマブキ(山振)、シャシャンボ(佐斯夫)、ミツマタ(三枝)、クチナシ(支子)などすぐにはわからないものもありました。

さて、下見を5/6(土)に行ったときは①番から㊵番まで順調に見てまわれたのですが、そこで思いがけない予告を知ります。観察会の当日は①番から⑳番までのコースが通行止めになるのです。いまさら、会員に連絡もできないので半分のコースだけで辛抱していただくしかなくなりました。下見で「尾根コース」を歩くと、キンランとギンランに会えましたし、名札がつけられた秋に咲く野草を勉強することもできたのですが、本当に残念でした。

スタート場所で木村さんにタンポポの解説をしていただきました。アカミタンポポ、シロバナタンポポ、セイヨウタンポポ、それにカンサイタンポポ。それからオオニワゼキショウ、アイセイタカハハコグサといった外来種を見て、園路コースを㊵番から逆にゆっくりと進みました。独特な色のナワシロイチゴ(実)、高校生物で習う桑実胚の由来になったマグワ(実)、濡らすと動くカラスムギ(種子)などを観察しました。花を見られたのはガマズミ、カナメモチ、タニウツギ、スイカズラ、エゴノキ、ニシキウツギ、モチツツジ、クサノオウ、サクラマンテマ、アオオニタビラコ、コモチマンネングサなどです。

ヤマコウバシの葉が一部コクサギ型葉序であること、ウラシマソウが芋の育ち具合で雌雄が決まることなど学びました。公園内は草刈りがなされていましたが、ウバユリやツリガネニンジンなどは意識的に残しているように思えました。花がないものも少しあげておきますと、ヤマムグラ,アゼナルコ、ウワミズザクラ、イタチハギ、エゾノギシギシ、ナナミノキなどがありました。シダではミゾシダ、オクマワラビ、シケシダなどが見られました。

前日の午前まで雨で中止も予想された観察会でしたが、当日の朝の降水確率が午前・午後ともに50%で実施に到りました。結局、午後2時半までの観察は傘をささずに済み、終わってみれば涼しくて良かったと言える観察会でした。(長尾 記)



 

2024年4月21日 石清水八幡~淀川背割提観察会 の記録

雨模様であったが、大阪府の朝の降水確率が50%であったため、開催することとなった。

京阪石清水八幡駅を傘がなくても良い程度の小雨の中、10時に出発。駅前で、葉に深い切れ込みあり、痩果が赤いアカミタンポポを確認した。そのあと、石清水八幡の一の鳥居をくぐり、池に貴重種のアサザが植えられているとのことで観察した。池の右隅には、藤棚があり、ちょうど咲き始めたところであった。池の大部分はハスに覆われているが、藤棚の下にアサザらしい葉があるが、場所をかえるとすぐ近くに、葉にぎざぎざのあるアサザを確認した。昨年5月1日の下見時には花も確認できたが、今回は少し早いため見られなかったのが残念であった。そのあと、神応寺の方面に行く、水路沿いに、イチハツやヒメウツギ、アマドコロなどの花が見られた。クサノオウやヤエヤマブキを見て、参道に入ると、シャガの花が咲いており、さらに上ると斜面一面を覆い尽くしているところもあり壮観であった。参道では、ヤマアイ、ヤブニンジン、タニギキョウ、タチツボスミレ、ナガバノタチツボスミレ、キランソウ、ムラサキケマンなどの花が見られた。参道の谷をへだてた向いの斜面には、クルマシダが一面に拡がっているところがあるが、行場では、間近に葉を見ることができた。さらに進み、アオオニタビラコ、ヌカボシソウ、ベニシダとフモトシダの芽生えの姿、コンテリクラマゴケなどを見て、本堂に到着。色々な花木が植えられているが、ヒラドツツジではないかと思われるもので、萼の根元まで花弁が5つに分裂しているものがあり、みんなで感心して見ていた。階段を下り、石清水八幡の一の鳥居をあとにして、元来た道を引き返し、大谷川に降り、岸に生える植物を観察した。そこでは、キツネノボタン、ヤガミスゲ、オオカワヂシャ、セリ、イヌガラシなどの他にイグサ科の帰化植物のコゴメイがあり、茎を縦に裂くと、髄に空洞が有り、イ(イグサ)との区別点を確認した。

京阪電車の鉄橋の下をくぐり、京阪国道沿いを背割堤方面に進む。11時50分頃、「さくら出会い館」に到着、集会室で昼食をとった。部屋には桂川、淀川、木津川の改修の歴史が分かるパネル展示があり、宇治川は巨椋池を経由して淀川に流れていたのを改修し、水草で有名だった巨椋池は干拓し今は耕作地になっていることや、背割堤は宇治川の洪水対策として、明治時代の改修でも設けられたことなどが理解できた。昼食後、12時30分ころから、雨脚が少し強くなったなか、背割堤を下流方面に向けて出発。堤の上から、木津川河川敷に黄色いカラシナが一面咲いているのが見られた。木津川の河川敷に降り、カンサイタンポポ、セイヨウタンポポ、ブタナ、ノアザミ、ナヨクサフジ、トゲミキツネノボタン、セイタカヨシ、ナガバギシギシ、スイバ、クコ、イタドリなどを観察して、背割堤を超えて淀川の河川敷をさかのぼる。淀川の河川敷は木津川に比べ幅が狭く、木々がたくさん育っており、それらの樹木の下に育つセイヨウイラクサ、ヤワラスゲ、オドリコソウの花などを観察して、雨脚が強くなったこともあり、石清水八幡駅にもどり、13時50分頃解散した。雨の中であったが、普段見られない植物が多く見られた観察会であった。

(今井周治 記)