2024/12/07

会誌「堺植物」第62号

 

1月21日の会員発表会に参加された方には当日配布をいたします。ご欠席の方には、後日、郵送させていただきます。

内容

「堺植物」第62号の発刊にあたって〔大場幾太〕

牧野富太郎選集を読んで(5)〔大場幾太〕

堺の植物と環境の変遷-南部丘陵を中心に―(その2)〔木村進〕

泉北ニュータウンでのフウおよびモミジバフウの野生化の状況〔今井周治〕

ハマデラソウの育成状況に関して〔笹井宏悦〕

堺のコケチェックリスト,2022,その1:蘚類〔芦田喜治〕

堺のコケチェックリスト,2022,その2:苔類・ツノゴケ類〔芦田喜治〕

植物漫画をもう一つ〔大場幾太〕

新檜尾公園のナラ枯れの状況(その4)〔今井周治〕

堺市、特に泉北丘陵におけるタンポポ類の分布変化1975~2020〔木村進〕

泉北ニュータウン光明池地区の道路沿いに生育するスミレ類について〔今井周治〕

ヒダカソウ〔広田博厚〕

秋田駒ヶ岳とその周辺で観察した蘚苔類〔左木山祝一〕

泉州岸和田藩「薬園」について〔岡島一允〕

堺市南部丘陵―第二豊田川沿いのナラ枯れについて〔木村進〕



2022年11月6日(日)犬鳴山渓谷 植物観察会の記録

9時50分に犬鳴山バス停で木村副会長の挨拶の後、出原さんから今日の観察会のコースと見どころについて話をしていただきました。出原先生の話の中で、今回はエノキとコバノチョウセンエノキの観察、ナキリスゲとオオナキリスゲの比較、いくつかのハギ(特にキハギ)の観察などをポイントとしました。

犬鳴山バス停を出発し森の中に入っていくと、まずキハギの観察でした。キハギの葉先は尖り、全体が平面的に並んでいるようでした。杉や雑木の林では薄暗くヒメコウゾなどのいろいろな木々やササクサやチヂミザサなどの下草、シダ類などが繁っていました。さらに進んでいくと、オオナキリスゲを見つけることができました。ナキリスゲのすべての小穂は、上に雄花がつき下に雌花がつくが、オオナキリスゲの頂小穂には雌花がなく雄小穂のみとなる特徴で見分けることができました。そのあとすぐにコバノチョウセンエノキを見つけることができました。その後もエノキとコバノチョセンエノキを見ましたが、葉の形では見分けのつきにくいものもありました。

途中、藪の中に入って観察しました。そこでキジョラン、イワタバコを観察しました。キジョランはアサギマダラの餌となることを聞き、つるになって高木のてっぺんまで伸びていく様子を見ることができました。午後には道すがらアサギマダラの優雅に飛ぶ様子を見ることができました。

藪を出て坂を上っていくと、タイミンタチバナの木がありました。この木は黒潮に乗ってくるとのこと、このあたりから南、西に多くあるそうです。再び藪に入り、レモンの香りがするレモンエゴマや硬いとげのような葉をもったカヤを地面の近くで見つけるなどしました。山道に戻り少し進んだところで、鮮やかな瑠璃色の実をつけたルリミノキを観察し皆がカメラを向けていました。

七宝瀧寺では6日に火渡りの行事が行われていたため、行事の妨げにならないよう端の方でカギカズラの観察をしました。葉の付け根に1個,2個と繰り返し鉤が付き、その鉤を大木の枝に引っ掛けながら、大木の頂上まで登ってくのです。植物の戦略に恐れ入ります。昼食をとった駐車場で大きく育ったカギカズラを見つけ、その先に実がついているのを見つけました。

昼食後は車道を上り、階段を少し下ったところでフユザンショウ、カワミドリを見ました。再び車道に戻り、今度は下りながらバス停へ戻っていきました。その途中ギンリョウソウモドキを見ることができました。アキノギンリョウソウとも言いギンリョウソウよりも遅い時期に出てきます。ギンリョウソウの花は下を向いたままで成熟し、ギンリョウソウモドキの花は下から上へ向きを変えて成熟します。最後にキチジョウソウの群落を観察し、蕾や花や実を見ることができました。

帰りは予定を変えて早く下山したこと、早いバスの時間を調べずにいたことなど、帰りについて参加者の皆さんにご迷惑をおかけしました。この場をお借りし、お詫びいたします。

好天に恵まれたことと、出原先生がとても詳しく調査され、資料を準備してくださったことで様々な植物を十分に観察することができました。


下は、会員のブログから、当日観察した植物に関する情報です。(植物名をクリックしてください。)

 カギカズラ カワミドリ フユザンショウ 

 

2022年10月16日 「堺自然ふれあいの森」観察会の記録

 

参加者18名

晴天に恵まれ少し暑いほどの中、予定を変えてまず山側の里道から歩き始めました。この公園のシンボルでもあるシリブカガシや、ヤマモモ、カスミザクラの大木の間に、実をつけたウメモドキ、ナツハゼ、ネズミモチ、またイソノキの幼木、タカノツメ、カクレミノ等を観察していきます。水がしみ出した斜面にコモウセンゴケ、シダ植物のミズスギが見られました。尾根道に上がり、見晴らし広場では淡い藤色のコウヤボウキが花盛り。ゴンズイ、ガンピ、ナナミノキ、ヤブムラサキ、ネズミサシ、カクミノスノキ、ヒサカキ、クロバイ等の樹木を見たのち第二豊田川添いの道に下りると、こちらはヨシノアザミが一面に花をつけていました。タチカモメヅルの愉快な形の実や、ノダケの紫色の複散形花序が目を引きます。これらは草刈の時申し入れをして残してもらったとのことでした。奥まったところにあるウラゲウコギを観察し、ヤノネグサ、アキノウナギツカミ、アカネ等を見ていくと、美しい青緑色の実(虫こぶ)をたくさんつけてさながらクリスマスツリーのような、低木にからんだノブドウに出会いました。さらに奥に進むと、数年前の台風で大きな木が倒れてできたギャップに多くの草本やシダ植物が出現したという場所がありました。花後のオオヒキヨモギが数本あり、今度は花の咲いた時に来たいと思いました。川の中にはツルヨシ、ミゾソバ、出口に近づくあたりではアメリカセンダングサ、オオイヌタデ、ジュズダマ、オオブタクサ等が見られました。午後は職員の方に普段入れないスゲ沼を案内していただき、里山の湿地風景を再生するご苦労をうかがいました。ニホンアカガエル、シュレーゲルアオガエルが生息しているそうですが、ウシガエルやアメリカザリガニを根絶することが難しいそうです。稲刈りが終わった田でキカシグサ等を観察し、カヤネズミの巣の痕跡やススキの根元のナンバンギセルを見て終了しました。

下見の時からご協力いただいた熊谷様、当日お話を伺った酒井様、ありがとうございました。

(なお、当日お配りした下見の時の資料のうち、「ノブキ」は間違いでしたので削除して下さい。酒井様、ご指摘いただきましてありがとうございました。)

(藤村記)


下見(2022.9.25.実施)で確認した植物のリスト → 表示


下は、会員のブログから、当日観察した植物に関する情報です。

★ キカシグサ

刈り取られた田でかわいい花を咲かせる水田雑草です。気候の関係だと思いますが、今年は花がほとんど終わっていて、残っていた花も枯れる寸前の花でしたので、以前同じ場所で同時期に撮影した写真を紹介しておきます → こちら

★ ホソバイヌワラビ

観察会で無性芽を見ました。こちらに載せています。



2022年9月4日 金剛山久留野峠方面観察会の記録

 

集合 午前10時15分に南海バス 金剛山ロープウエイ前バス停

 台風11号と停滞前線の影響で不安定な天気が続く中、この日は天気に恵まれた。金剛山ロープウエイ前バス停に集合、木村副会長のあいさつ、担当者からのコースの説明のあと、10時15分出発。集合場所のトイレの周辺では、オニドコロの花と実、季節外れのヤマブキの花、ボタンヅルの花、ヌルデの実、ノブドウの虫こぶと虫の入っていない実の違いなどを観察し、ようやく歩き始めた。

 歩道脇に生えたフサザクラの新しい赤い葉と大きな木にぶら下がっている実、マタタビの黄色く熟した実と虫の入った実、ヤブムラサキ、ムラサキシキブの葉、植えられたヒマラヤスギなどをみて東屋の横を通過。数個の実をつけたヒメヤシャブシ、赤い実と来年の小さな花芽をつけたカナクギノキ、ツルニンジンのつぼみと実(後で下を向いて咲く花も見られた)、オオバアサガラの実生の大きな葉。アブラチャンの大きな丸い緑色の実などを観察しながらゆっくりと進む。

 撤去されることが決まったロープウエイへの登り口を右に見て、まっすぐに進み久留野林道の入り口に到着。林道に入ると、谷道で両側が植林で、暗いところと、開けた明るいところがあり、暗いところには、小さな白い花をつけたハナタデやウワバミソウが地面を覆うように生えている。明るいところには、小さな穂をつけたミカエリソウ、花が咲き始めたアキチョウジ、実をつけたフタリシズカ、ユキザサなどがみられた。

 久留野峠への最後の急な登りになる前の開けた所で、舗装された道に荷物を広げて昼食をとり、もと来た道を戻った。雨の後で、濡れた滑りやすい道を注意深く下って帰った。登りに見逃した種類や、気が付いていなかった点を見ながら下った。

 道を覆うようにツルになって伸びている葉が話題になっていたが、シソ科のオウギカズラで、春の花のあとに地をはう枝が伸びるそうである。ヤハズアジサイについて、両側の斜面の植林下に、先が切れ込んだ大きな葉をつけて一面を覆うように生えており、木村副会長の説明では、この種は、そはやき要素(襲速紀、九州中南部の「熊襲」・四国の「速吸瀬戸」・紀伊半島・東海地方の中央構造線に沿って分布の中心がある植物)と言われており、帰ってWikipediaで調べたところ、なじみのあるところでは、ユキワリイチゲ・チャルメルソウ・ギンバイソウ・モチツツジ・テイショウソウ・シライトソウなどが該当するそうである。

 午後2時解散。解散のあと、バス停の歩道の溝に、アカバナの花が咲いているのを見てバスに向かった。歩く距離は短く、ゆっくり観察できたかと思う。

(その他、見られた植物)
アマチャヅル、イヌガラシ、イヌショウマ、イヌトウバナ、ウシタキソウ、ウバユリ、オトコエシ、カラスウリ、カラムシ、ガンクビソウ、キツリフネ、キンミズヒキ、ギンレイカ、クサアジサイ、クマシデ、ゲンノショウコ、コメナモミ、サジガンクビソウ、シュウブンソウ、シラネセンキュウ、ツリフネソウ、ノブキ、ハダカホウズキ、ヒメコウゾ、フタバアオイ、ミズタマソウ、モミジガサ、ヤブマオ、ヨシノアザミ


2024年12月7日まで堺植物同好会HPの TOP ENTRY を飾った写真


 

「高安山~竜田川方面」観察会

 

1.日時 令和6年11月10日(日)
※ 当日の朝6時30分の気象情報で奈良県の午前の降水確率が50%以上の場合は、観察会は中止します。

2.集合 近鉄西信貴ケーブル「高安山」駅前 午前9時40分

3.観察の概要

 高安山付近の雑木林は二次林であり、クヌギ・コナラで形成されている。かつては、15年~20年の周期で伐採されていた。また、八尾市の生駒山地山麓では昔から花卉(かき)園芸が盛んで、栽培されていた植物の種が鳥などに運ばれて、大阪府では特異的に高安山付近でのみ生育している植物が観察される。例として、本来は九州で自生していて、年末~2月に花屋で出回るアオモジ、古くから九州で栽培されていた野菊のシマカンギクなどが挙げられる。

 高安山から竜田川までの後半は、降り坂が多く、雑木林・人家・畑周辺の植物が観察される。

主な植物

 クマノミズキ、ウマノミツバ、ヤマコウバシ、クヌギ、ウラジロノキ、タカノツメ、ウメモドキ、ソヨゴ、ニワトコ、シロダモ、シオデ、ゴンズイ、ミヤマナルコユリ、コバノガマズミ、テイショウソウ、ヤブタバコ、キツネノマゴ、コシアブラ、オオニシキソウ、ハキダメギク、カラスウリ、アメリカタカサブロウ、シマカンギク、センニンソウ、アワブキ、カタヒバ、アオモジ、コナラ  他




2024/10/27

「苔・こけ・コケ展 2024」のおしらせ

京都府立植物園の植物園会館で 「苔・こけ・コケ展 2024」が開催されます

日程:11月8日(金曜)から11月10日(日曜)9時から17時(最終日は16時まで)

コケの栽培品、生態写真、コケアート・工芸品、苔庭ジオラマの展示など、コケに関する盛りだくさんの内容になっていますが、関連行事として、コケ観察会や講演会なども行います。

 

苔・こけ・コケ展 関連観察会

日程:11月8日(金曜)から11月10日(日曜)10時30分から12時30分(受付10時から)

内容:植物園内のコケの観察

定員:当日先着20名 植物園会館前集合

参加費:資料代500円

 

 苔・こけ・コケ展 関連講演会

日程:11月10日(日曜)13時30分から15時(受付13時から)

内容:「京都を彩る苔庭の魅力」

講師:烏賀陽百合氏(庭園デザイナー)

定員:当日先着60名

会場:植物園会館2階研修室