甘樫丘には「万葉の植物園路」と名付けられた散歩観察コースがあります。万葉の木々が40種選ばれ、①~㊵と順に番号が振られ、和歌を紹介してあります。植物同好会の私たちとしては和歌のヒントなしで同定していきたいところです。和歌の文字もいわゆる万葉仮名で、イチイガシ(伊知比)、ヤマブキ(山振)、シャシャンボ(佐斯夫)、ミツマタ(三枝)、クチナシ(支子)などすぐにはわからないものもありました。
さて、下見を5/6(土)に行ったときは①番から㊵番まで順調に見てまわれたのですが、そこで思いがけない予告を知ります。観察会の当日は①番から⑳番までのコースが通行止めになるのです。いまさら、会員に連絡もできないので半分のコースだけで辛抱していただくしかなくなりました。下見で「尾根コース」を歩くと、キンランとギンランに会えましたし、名札がつけられた秋に咲く野草を勉強することもできたのですが、本当に残念でした。
スタート場所で木村さんにタンポポの解説をしていただきました。アカミタンポポ、シロバナタンポポ、セイヨウタンポポ、それにカンサイタンポポ。それからオオニワゼキショウ、アイセイタカハハコグサといった外来種を見て、園路コースを㊵番から逆にゆっくりと進みました。独特な色のナワシロイチゴ(実)、高校生物で習う桑実胚の由来になったマグワ(実)、濡らすと動くカラスムギ(種子)などを観察しました。花を見られたのはガマズミ、カナメモチ、タニウツギ、スイカズラ、エゴノキ、ニシキウツギ、モチツツジ、クサノオウ、サクラマンテマ、アオオニタビラコ、コモチマンネングサなどです。
ヤマコウバシの葉が一部コクサギ型葉序であること、ウラシマソウが芋の育ち具合で雌雄が決まることなど学びました。公園内は草刈りがなされていましたが、ウバユリやツリガネニンジンなどは意識的に残しているように思えました。花がないものも少しあげておきますと、ヤマムグラ,アゼナルコ、ウワミズザクラ、イタチハギ、エゾノギシギシ、ナナミノキなどがありました。シダではミゾシダ、オクマワラビ、シケシダなどが見られました。
前日の午前まで雨で中止も予想された観察会でしたが、当日の朝の降水確率が午前・午後ともに50%で実施に到りました。結局、午後2時半までの観察は傘をささずに済み、終わってみれば涼しくて良かったと言える観察会でした。(長尾 記)
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