2025/06/07

令和5年10月8日(日)京都府立植物園観察会の記録

この日は天気が思わしくなく、指定の午前7時現在の京都の降水確率が午前30%・午後80%で、案内では午前・午後の区別をせずに、50%以上の時は中止としていたので、判断に戸惑われた方もおられ、お問い合わせもいただき、担当者で相談の結果、午前が30%なので実施することにしました。参加予定で中止と思われた方には申し訳ありませんでした。これを教訓に降水確率の表示方法は改善したいと思います。

10時30分の集合時刻に植物園の北山門に集合されたのは6人で、全員無料で入園して観察を始めました。満開のコスモスの花に迎えられ、正面に樹高10数mに達するトウカエデをみて、「竹笹園」にあるスエコザサを観察。牧野博士が妻の寿衛さんに捧げたことで有名。先週終わった「らんまん」の最終週のテーマでもありました。現在ではアズマザサの変種とされ、葉の片方(多くは上側)が内側に巻き込み、表面に長毛があるという特徴を観察できた。参加者に須恵子さんがおられたのも奇遇であった。

次に「植物生態園」に入り、様々な季節の植物を観察した。最初に左木山さんから、珍しいイセノテングゴケが紹介された。この植物園ではコケにまで名札がついている。生態園には多くの種類の植物があり、書くときりがないが、秋の七草の花をすべて見ることができ、今年はやや開花が遅かったヒガンバナが園内ではまだきれいに咲いていた。他に、冬になると枯れた茎に根から水が運ばれて霜柱ができるシモバシラの白い花が最盛期で、コミカンソウそっくりの実をつけるカンコノキ(コミカンソウ科)や、分布が局限されているがここでは大繁殖しているスズムシバナ(キツネノマゴ科)、大隅半島特産で大きな黄花を咲かせるタカクマホトトギスなどの花が印象に残っている。

みんなで熱心に観察して、ああでもないこうでもないと話しながら歩いていたら、お昼前になっていた。水琴窟の音を楽しんだり、池や小川があり、多くの樹木が植えられている「なからぎの森」で左木山さんにウマスギゴケ・エダツヤゴケ・オオミハタケゴケ・ホソオカムラゴケなど教えていただきながら「絶滅危惧種園」をめざす。ここでは、アマミアセビが生息域外保全されている。他にヨツバハギやハマアザミ・クサボタン・フジバカマなどの花が咲いており、水甕には牧野氏が発見したムジナモがあり、捕虫葉が観察できた。この近くの「中国植物園」で、ヒメサンショウバラのトゲトゲの実や常緑のカエデ類などを見てから、近くの東屋で昼食を食べることにした。食事が終わった午後1時頃から小雨模様となったが、午後は観覧温室内での観察を中心に行い、濡れることはなかった。

この日は園内の桜が何本か返り咲きしており、温室前の2本の大きなヤマザクラは3分咲きくらいであった。夏の高温少雨で葉がほとんど落葉したので、開花したものであろう。日本最大級で4500種を展示している観覧温室では、最初に開花中のオヒルギの花を観察し、仏教の三大霊樹とよばれるムユウジュ(釈迦の誕生)・インドボダイジュ(悟りを開く)・サラソウジュ(釈迦の入滅)を見た。サガリバナの花・カカオの花と実・バオバブの実・様々な形態のビカクシダやアナナス類、多種多様なラン科植物などが印象的であった。日本ではなじみのない植物でも、よく見ると興味深く、例えば、カタバミ科で樹木になるゴレンシ(実はスターフルーツ)の花は5弁でカタバミそっくりだった。3時頃温室を出て、小雨の中を集合場所の北山門まで戻り、解散した。今回は植物園内で気軽に、少人数で充実した観察会ができた。

京都府立植物園で見た植物のいくつかを【こちら】に載せました。



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